2010年05月03日
「M8(エムエイト)」
その名の通り「M8」の地震が
東京直下で発生したことをめぐる話です。
久々に一気に読みたいと思わせる話でした。
つぼにはまった作品の一つです。
かなりリアルに書かれています。
現実の関東大震災も何時発生しても不思議でないと言われています。
著者は1949年岡山県に生まれる。慶応大学工学部修士課程を修了。
1994年「メルト・ダウン」で第一回小説現代推理新人賞を受賞し華々しく文壇に登場、その後次々と興味深い著書を発行している。
阪神・淡路大震災で家族を亡くすも、生き延びた若者と老地震学者!
主人公の瀬戸口(28歳)もそのなかのひとりであり、これを機会に地震学者の道へ・・・
主人公は独自のコンピュータ・シュミレーションで東京大地震を予測する。
丁度その時、東海地震予知情報が出され、政府等はその対策に全力を投入している。東京都知事はこの若い研究者の予測を半分信じ、「東京直下型地震への演習警戒宣言」を発動し、政府からの静岡への派遣要請を断る。然し、結果としてM8の大地震が発生し、予測していた災害は発生するが、災害後の対応、復旧活動は非常にスムーズに行い、第二次災害を防ぐことができるという近未来予測小説に仕上がっています。
この小説ではスーパーコンピュータ「地球シュミレータ」が活躍する。将来発生する事が確実な「関東大地震」がこのように予測出来たら良いですよね。
「災害は忘れた頃にやってくる」と言われています。
でも・・・
もし東京でこんな大きな地震が起こったらと思うと・・・
いつかは起こると言われているのに真剣に対応しているんだろうか・・・
地震予知の現状はどうなっているんだろうか・・・
起こった時に最善の行動が取れるんだろうか・・・
そして予知できたとしても発表できるんだろうか・・・
様々な問いかけがなされていて,思わず引き込まれてしまいます。地震が発生した時の様子や,その後の混乱がかなり迫力を持って描かれています。
でもその反面,人間ドラマとしての面が薄い気がしました。
何かみんないい人ばかりで・・・
本来は敵役となるべき植村でさえ,やたらと話の判る人だし,政治家の対応など現実的でない面も目立ちます。
それにしても怖い話でした。
他に、災害パニック小説として以下の2冊も読み終わりましたが・・・
・富士山大噴火
・死都日本
注意)XPの方はぜひ「こちら」からメイリオフォントをインストールしてみてください。
縦書き時の印象がかなり異なります。
Posted by hatu at 18:30│Comments(0)
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